MISALIGN and LIGHT 

兵庫県西宮市, 日本
写真 © Yoshiharu Matsumura

敷地の高塚町は六甲南麗に位置する住宅街で、阪神間の中でも特に自然や地理的条件に恵まれた歴史ある地である。明治より実業家や芸術家、文化人らにより培われてきた「阪神モダニズム」という独特な文化が息吹くこの地域の一角に敷地はある。

本計画は地下1階地上2階建てのRC造で、敷地地盤面が前面道路から4m上がった場所に位置するため建物内へは地下からのアクセスとなる。
アプローチと玄関にはどちらにも吹抜けが設けられており、地下でありながらも光が落ちてくる開放的な空間を形成している。また、アプローチに入ると木板貼りの壁が現れ、その壁は階段を上がり1階のLDKを経由し2階の階段室まで続いていく。この木板貼りは通常とは違い、凹凸を付けながら貼られているため、外光や照明の光の加減により陰影がつくられ多彩な表情が現れるようになっており、木材の温かみを持ちながらも場所それぞれの表情が表れる豊かな空間を演出している。

1階のLDKには南面に広いテラスが接しており、幅3.3mの掃き出し窓を開けるとLDKとテラスが一体の空間となる。
テラス南面には長さ10m程度のプランターを設けており、四季折々の植栽を楽しみながらBBQなどを楽しめる場となっている。また、テラス四周を1.8mの壁で囲うことで水平方向の視線を遮り、マンションからの視線についてはテラスに屋根を設けることはせず2階と屋根スラブから片持ち梁によりテラス上部をぐるりと囲う2段の浮き壁によって遮ることでプライバシーを確保しながらも空に抜けのある開放的かつ造形的な空間を作り出している。
さらにテラス上部を囲う浮き壁はズレを生じさせており、ズレによりできた隙間から砕かれた光が差し込み、風は通り抜け、テラス空間に時間を刻む。

キッチンを境に北側には広々としたリビングと対比してヒューマンスケールの落ち着いた書斎や和室が位置しており、それらの居室からは和モダンな北庭を望むことができる。広々とした団欒の空間と北側の落ち着きある空間を同じフロアに共存させることで空間の変化を楽しめる計画としている。

外観は、3階建てRC打放のBOX型で、地下1階は、門扉からガレージまで統一された木板横貼り、1階はテラスの腰壁全体を覆う樹脂ルーバー、2階と屋根のスラブからは片持ち梁によってRC打放杉板型枠の目隠し壁が宙に浮いている。木材の柔らかさとルーバーの繊細さ、RCの重厚感といった三層構成にテラスから溢れ出る植栽が彩を加えて独自の外観を形成している。

写真 © Yoshiharu Matsumura
写真 © Yoshiharu Matsumura
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写真 © Yoshiharu Matsumura
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2024

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